発表月日 | 船名 | トラブル概要 |
10月25日 | エレーション号 | 右舷アジポッドシステム故障 |
10月21日 | ブリリアンスオブザシー号 | 左舷ポッド推進モーター故障 |
10月8日 | オリンピアボイジャー号 | 座礁事故 |
8月5日 | スタテンダム号 | 火災 |
6月末 | セレブレーション号 | 推進装置故障 |
6月末 | インスピレーション”号 | 推進装置故障 |
大型化、高速化する上で特筆すべき革新的新技術はまずポッド推進装置である。従来のクルーズ船で最良の推進システムといえば電動推進だったが1998年カーニバルクルーズのイレーション号70,367総トンに初めてアジポッドというこのシステムが使用されると業界に大きな驚きをもって迎えられ現在、新造船の多くがこのシステムを採用している。
なぜにこのポッドシステムが革新的なのかその特徴を以下に列記する。
(イ)プロペラ−、舵システム、スターンスラスターと3つの働きを兼務。
(ロ)定点360度回転さえも可能で侠水道や浅い港内などで特にその効果を発揮。
(ハ)クルーズ船にとって最も考慮すべき振動、騒音を軽減。
(ニ)洋上で40ノット、港内で30ノットの横風下でも操船が可能。
(ホ)13万8千総トンの船でさえ前進25ノット、後進17ノットそしてサイド3ノットでの推進が可能。
(へ)ある程度の船速がないと従来の船では舵は効かないがこれはたとえゼロのなっても操船が可能。
(ト)燃費が従来のプロペラ−に比べて10−15%改善。
この装置の出現で巨大船がどのような海況、港湾状況下でもタグボートなどのアシスト無しで安全にすばやく運航できるようになったのである。
又、プロペラシャフトが不要となり船体の有効活用つまり旅客スペースを増やすことが出来るなど船の基本デザイン設計にすら大きく貢献した。建造中のクイーンメリー2号もディーゼルエンジン4機+ガスタービン2機組み合わせで合計出力14万馬力、この2/3の出力でもってマーメイドTM型ポッド推進システムを駆動させて最大速力29.6ノットの速力を出す。