2003年10月1日
クルーズ船社の経営状況
苦しい中小クルーズ船社
今年前半の決算が出揃い、その結果を見ると最大手のカーニバルグループの堅調さと中小クルーズ船社の経営の厳しさが改めて浮き彫りになった。
一般に観光業界、特に海外旅行は9月11日のテロ事件以後も今年に入って,イラク戦争やSARS問題などで大きく落ち込み、そしてようやく回復の様子を見せ始めたものの以前厳しい状況が続いている。
ところが、幸いなことにクルーズに関しては米英独それぞれの国内港を母港にしたホームクルージングが大きく伸びていて、全体としての需要は前年そして今年もプラス成長し順調な伸びを示している。直近のCLIA発表2003年2/4半期の結果でもクルーズ船客数は前年同期比5.72%増加
している。
ところが中小のクルーズ船社の決算は赤字に転落したままで、今も浮上できず苦しい状況が続いていて、日本の日本郵船クルーズさえもクルーズでは利益が出ていないのです。
日本郵船の2003年3月期決算
クルーズ船運航事業が経常19億6100万円の赤字に転落した。原因はSARSの影響としているが、問題は今期も24−25億円程度の赤字見通しを発表したことだ。
日本独自の高い料金で運航しながらなお赤字と言うのは非常に高い損益分岐点と体質的な問題と考えられドイツ市場で成功しているアイダクルーズを見習うべきかも知れない。では、その他の船主はどうなっているのか見てみよう。
他の船主決算
ロイヤルカリビアンクルーズ(NYSE:RCL)が発表した2003年2/4半期の決算は、売り上げが全年同期の$821.8 milから10.2%増加し$905.8
milとなったものの純益は $55.7 milドル、一株当りの利益が $0.28ドルとなり、それぞれ前年同期の$66.7
mil、$0.34ドルから減少。
昨年、好決算を出せる英国の優良企業プリンセスクルーズを吸収合併し自社グループの価値を高めることが出来る上に彼らのもつ経営手法、販売ノウハウ、管理システム、顧客等をも取得出来るというメリット通りカーニバル王国が完成しました。しかもこのクルーズ王国はなんとあのヤフーと肩を並べる超優良成長企業グループというから驚きです。
うそ!そんな!とおっしゃる方々!次の比較表を見てください。
霞にかすむロイヤルカリビアンの船
世界一周クルーズではこんなに船客が乗っているのに!
日本郵船の飛鳥
一人勝ちのカーニバルクルーズ
決算
年月 |
会社名 |
売上高 |
売上
伸び率 |
株価 |
時価
総額 |
PER |
EPS |
成長率 |
2003.11 |
カーニバル |
78.22億ドル |
22パーセント |
32.64ドル |
205億ドル |
20 |
2 |
25.2パーセント |
2003.12 |
ヤフー |
16.03億ドル |
22.4パーセント |
32.12ドル |
194億ドル |
91 |
0.5 |
40.6パーセント |
なお、参考までにカーニバルが先週発表した2003年3/4半期決算では売上が25.2億ドル純利益が7.343億ドルで引き続き好調な拡大をしめしています。
クルーズは I .T. と並ぶ高成長産業である!!
しかし、先進諸国で唯一今もクルーズ鎖国状態の日本だけが一人取り残されて!!